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2013.2.11-2.17
吉田耕司 Yoshida Koji
月の町 2012
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内戦の混乱から避難した人達、仕事を求めて都市に出て来た人達が急な斜面に粗末な家を造り移り住んだ。
月明かりに照らし出される山肌の家々を、月に一番近い町「月の町」と人々は呼んだ。
大都市の近郊に点在したこの町は再開発とともに姿を消してしまった。
しかし、ここ釜山では斜面に沿って膨張する町に飲み込まれる様にして点在している。
今では月の光が差し込む粗末な屋根はどこにも無い。
壁はコンクリートにかわり、幾重にも塗り重ねられた塗料が所々剥げ落ち地層の様に露出していた。
私が見ていたのはこの町に流れた月日の記憶なのだ、それはこの町に住んだ人々の営みの記憶を閉じ込めるかさ蓋の様に思われた。
吉田耕司 Yoshida Koji
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